シーン036:「1年半と武者震い」

お当番 : りょーじ

 「武者震い」なんて言葉が脳裏をよぎる。次回公演の台詞を入れている刻だ。 その役になりきり言葉を発した時、背筋から全身に渡り何ともいえない震えが、不意に起こる。 「あぁ、そうか。これが武者震いというものか」、ふと、気付く。

  しばらく舞台に上がっていない。当然のことながら演じることが好きだ。 旗揚げ公演から第5回公演まで、役者として走りつづけてきた。 いつだって、役者でありたいと願っている。 けれども「劇団」では、或いは、現実問題の前では、自分の想いが優先されるとは限らない。 そこがアマチュア劇団なら尚更である。そうして舞台に上がらぬ歳月、実に1年と半年。 美しくもあり、悲しくもあり… 、そんな時間だった。
  「舞台に上がらない時間が、演技に磨きをかける好機」であることを信じ、 前向きに、真摯に、芝居に向き合ってきたつもりだ。そして実際、 役者をやっていただけでは絶対に感じ取ることができなかったであろう多くのことを学んだ自覚は、 確かにある。この間に読んだ戯曲も百近く数えた。 様々な立場から、劇団を、自分を、見つめ直すこともできた。そして何より。 この1年半は、無意識下においてさえ「武者震い」として現れ、私を、
強く、優しく、包み込んでいる。 …やがてこいつは、感情までも支配してゆくのであろう。

  「1年半」と「武者震い」に感謝しよう。 そして。
  次回公演、役者として舞台に上がれる喜びを、余すところ無く、表現しよう。