シーン249:「時間は無限に分割できる」

お当番 : りょーじ

 今日は、演じることについて、ちょっと真面目な話を。

 以前、コラムにも書いたのですが、私は短編漫画が好きです。
 で、夏に『All You Need Is Kill』を読みました。2014年にトム・クルーズ主演で 映画化された、2004年のライトノベルのコミカライズ作品ですね。 その中の一節に「時間は伸びない、だが無限に分割することができる※」という 言葉がありました。「有限の時間を意識的に分割することで、一秒は一秒以上の 意義・価値を持つ」(作中の意味合いとちょっと違うけど)という考え方で、 これによって主人公は、修行的な訓練の時間対効果を上げ、ガンガン強くなります。

 話は変わって、先月私は、小林賢太郎さんのワークショップに参加してきました。
 内容は割愛しますが、その中の小林さんの言葉の中に、次のようなものがありました。 「セリフとセリフ、音と音の間には無限の『…』というセリフ・音が存在する」 (これもちょっと言葉は違うけれど、ニュアンスはこんな感じでした)というものです。 音を発している間だけ表現しているのではなく、音と音・セリフとセリフの間も 表現は続いている。その一瞬々々を意識して(間の無限性を意識して)、 表現に向かえばお客さんにより強い説得力や面白さを伝えられるはずだ、 というわけです。
 ワークショップのお話とは異なりますが、私なりの解釈を加えると、 次のような考えにも応用できます。
 役者は当たり前のようにセリフ・言葉を発しますが、よくよく考えて見ると、 登壇している時間のうち、セリフ・言葉を発している時間なんて3割に満たないんですよね。 で、残り7割は所作や立ち居振る舞いで、ノンバーバルに表現している。 言い換えれば、ずっと「…」っていうセリフを発し続けている、ということになります。 つまり、「言葉を発している3割の時間はもちろん大事だけど、 黙っている7割の時間ってひょっとしたら言葉の3割の時間より大事じゃね?」ってことです。 (「何を今さら…」と思われる方もおられるでしょうが。)

 話が逸れましたが、上記の二つの事例・言葉から、私の頭の中には 「時間は無限に分割できる」という考え方がこびりつくようになりました。

 演劇の稽古時間は、有限です。公演時間も、有限です。
 けれども、稽古時間はその「無限性」を意識することで、時間対効果を上げることができるの ではないでしょうか? 公演時間は、お客さんに公演時間を超えた密度の濃い表現を 見ていただくことで、「無限性」を垣間見させることが可能なのではないでしょうか?

そんなことを思いながら、今日も稽古に向かうのでした。


※<参考文献>
桜坂 洋/竹内 良輔/安倍 吉俊/小畑 健(2014) 『All You Need Is Kill 1』 集英社 168pp.


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