シーン309:「公演後記:ドラマを創るというドラマB」

お当番 : 森田 リョウジ


 『けれどスクリーンいっぱいの星』の反省会も終わり、2月に入りました。今は公演記録のDVD作成に取り組んでおります、主宰とは名ばかりの雑用係・森田です。
 前回のコラムからの続き「公演後記B」です。

 雨宮さん、前山さん、高梨さん、勝見さん、橋本さんをお仲間に加え、強力メンバーとなった「チーム『けれスク』」ですが、キャストが決まった直後から逃れることのできない大きな壁にぶち当たります。
 「アナザー」役となる客演の皆さんと、劇団シブパの団員との、厳然たる力の差です。
 そもそも「力がある」ことを前提にお招きしているわけですから、力の差はあって当然です。しかし、その力の差が「お客さんが見るに耐え得る差に縮められるのか」という命題がシブパには突きつけられたのです。
 「客演さんは良かったよね」「主役はアナザーだったよね」という声やアンケートの記述があるのだけは避けたい。そんな思いで毎回の稽古に取り組みました。

 「個人 対 個人」の対決では、明らかにアナザーに分がある。劇団員の誰の目から見ても明らかなその事実に立ち向かうには、見方を変える必要がありました。
 「5つの強烈な個性 対 劇団としてのチームの演技」という構図にすることで、対決を成り立たせようと考えたのです。普通に考えたら卑怯だけれど、「戦隊ヒーローが5人で1人(1匹?)の怪人をやっつける」あの理屈です。
 このプランが立ってからは、劇団員は本当に基礎稽古の繰り返しでした。
 大胡シャンテという大きな会場でも届く声量を獲得するための発声練習。
 動くところは大きく動く、止まるところは止まる、メリハリをもって身体の部位を動かす などの当たり前の身体動作をするための筋力トレーニングや、可動域の拡張練習。
 知らず知らずに自分の表現にセーブをかけている「恥ずかしさ」や「殻」から脱却するための気持ちの解放練習。…などなど。
 どれもシブパの劇団員には足りないスキルでした。それらを1から稽古し直しました。

 ある者は、稽古で肘や膝を強く打ち付け病院に通い。
 ある者は、盲腸を患い入院し。家族に迷惑をかけ。
 ある者は、心労や体力低下から病気を患い通院し。
 ある者は、膝に疲労が蓄積し入院し。
 そしてある者は、公演に伴う心身への様々な重圧からかアキレス腱を切り入院し…。

 シブパの役者5人のうち3人が入院しました。病院に通わなかった者はいませんでした。
 お芝居をやっていない人から見れば、とてもとても無様でした。
 なぜそこまでして公演をしたかったのかはわかりませんが、「この公演は成功させなければならない」、そんな思いが暗黙の中にあったように思います。
 でも、だからこそ、私はこのメンバーを誇りに思うのです。
 けれどそこには間違いなく5つの星が輝いていたように思うのです。

 …う〜む。
 なんか自分たちを過大評価している気がする。そして湿っぽい…。
 今日はもうここまでにします。「to be continued」です。
 「公演後記C」に続く。


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