シーン311:「公演後記:ドラマを創るというドラマC」

お当番 : 森田 リョウジ


 『けれスク』の本番が終わり、3週間が経ちました。
 今、このコラムを書いているとき、先日の公演で客演していただいた勝見由佳さんは、所属なさっている「musical unit cabo」の一員として同じ大胡シャンテの舞台に立っております。そんなご多忙の中、客演を引き受けていただいたことへの感謝はもちろんのことなのですが、勝見さんのタフさ、パワフルさには頭が下がります。と同時に、雨宮さん・前山さん・高梨さんとも、各々の次の公演に向け、早くも走り出しています。アナザーのアナザーたるゆゑんと言いますか…。さすが、県内でご活躍なさっている皆さんです。淀みなく自分の成すべきことを成すその姿勢は、見習うべきところが多分にあります。
 私個人としては、まだまだ『けれスク』の余韻に浸っていたく、『けれスク』な日々がもう少し続けばよいな、などと思ってしまうところなのですが…。無常であることに無情を感じながらも、シブパも私も、前に進み続けなければなりませんね。アナザーに笑ってもらえるように。

 アナザーのメンバーが合流し、いよいよ稽古も大詰めという12月。私はアキレス腱を切りました。本来、一番内容を詰めたい時期の演出の不在…。関係する皆さんにどれほどの負担と不安とストレスを与えたかは、計り知れません。病院のベッドで、私はただただ自分の愚かさと情けなさと力のなさを実感し、悔い、悶えました。私の心身は弱り、正常な判断ができず、チームの皆さんに指示すらろくにできない…。そんな日々が3週間続きました。

 「公演中止」という発想は起こりませんでした。そんな状況でも私には信頼すべき仲間が、同志がいたからです。演出がいなくても、何とかしてくれる。無条件にそう思えました。動けるようになったときに、ただひたすら動く。私にそれができれば、公演は成り立つはずだ。そう、思えました。ただ一つ気がかりだったのは、アナザーの皆さんの心持ちです。
 もし私が他団体に客演として呼ばれて代表・演出がこんな状態になれば、無責任かも知れませんが、客演を断ったかもしれません。それでもなお耐え忍び、演出からの十分な指示を受け取れないながらも踏ん張り、公演をしてやろうじゃないかと奮戦してくださったアナザーの面々には、本当に頭が上がりません。力のない演出の下でお芝居をするのは、本当に大変です。それだけでも嫌気が刺すのに、加えて少ない指示すら出されない…。本当に、本当に、申し訳ありませんでした。

 劇団員に迷惑をかけるのは、仕方のないことです。お互い様、ギブ&テイクですから。しかし、アナザーのメンバーにその道理は通りません。「後始末はお宅でしてくれ」と切り捨て匙を投げることの方が簡単です。だのに、そうはならなかった…。いやむしろ、いなかったからこその作品を創り上げてくださった。
 私のこのいつまで続くかわからない演劇人生ですが、このメンバーへの恩義を忘れずに、そして失われた(あるいは最初からなかったかもしれない)信用を取り戻すために、お芝居創りとそれに関わる幾多の諸活動をやっていこうと決意を新たにしました。

 斯くして、劇団シブパの第22回公演は終わりました。
 私たちの第22回公演は本当にもがき苦しんだ永い道のりでした。でも、だからこそ、多くのお客様に楽しんで頂けた作品になったと思っています。いくつかのアンケートで「皆さんの頑張っている姿が素晴らしかった」というありがたいお言葉を頂けました。演技を超えた表現が伝わり、ドラマを創るというドラマがにじみ出たのではないかと、そんな風にしばし自分を甘やかしたいと思います。

 おそらく来週の今頃には記録用映像DVDもできあがり、順次関係者に配っていることでしょう。それをもって、私の今公演に関する残務処理は終了します。
 まだまだ書き足りないところではあるのですが、これで私の『けれどスクリーンいっぱいの星』を終わりにしたいと思います。必要以上に書き過ぎました。想いが溢れてしまいましたね。

 改めて。劇団シブパ第22回公演『けれどスクリーンいっぱいの星』にご来場いただきまして、誠にありがとうございました。また、関わってくださった全ての皆様に感謝をいたします。
 「公演後記」終わり。
 あっ、でも、他のメンバーはまだ公演後記書くかもしれません。その場合は「to be continued」ということで。
 劇団シブパの次回作にご期待ください。


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